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コラム

経過措置終了後の雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金は令和4年12月以降は通常制度とされ、一定の経過措置が設けられてきましたが、令和5年3月31日をもって経過措置は終了することとなっています。

令和5年4月1日以降の休業等(※)については、支給要件を満たせば通常制度が利用できます。

主な支給要件などについては以下のとおりです。

※令和5年4月1日以降に判定基礎期間の初日がある休業等。以下同じ。

1.生産指標の要件は直近3ヶ月と前年同期との比較&売上10%低下

直近3ヶ月の生産指標(売上高など)が前年同期と比較して10%以上低下していることが要件となります。

起業して間もない事業主の休業など、比較可能な前年同期が無い場合は助成対象となりません。

2.雇用量の要件は直近3ヶ月の平均値

休業等を実施する事業所における雇用保険被保険者や受け入れている派遣労働者数の直近3か月の平均値が、前年同期に比べ5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上) 増加していないことが必要です。

3.最後の休業等開始日から1年経過

コロナ特例を利用していた事業所が令和5年4月1日以降の休業等について通常制度を申請する場合、最後の休業等実施日を含む判定基礎期間末日から1年経過している必要があります(クーリング期間要件)。

4月以降のクーリング制度の取り扱い

令和5年3月31日時点で対象期間が1年に達している場合

令和4年3月31日以前に最後の休業等実施日(判定基礎期間末日であって雇用調整助成金の受給があるもの)がある場合、支給要件を満たせば令和5年4月1日以降の休業等について通常制度が利用できます。

令和4年4月から令和5年2月に最後の休業等実施日がある場合、最後の休業等実施日から1年経過後、支給要件を満たせば通常制度が利用できます。

令和5年3月に最後の休業等実施日がある場合、最後の休業等実施日から1年経過後、支給要件を満たせば通常制度が利用できます。

令和5年3月31日時点で対象期間が1年に達していない場合

◆支給要件を満たせば、対象期間が1年に達するまでの間、令和5年4月1日以降の休業等について通常制度が利用できます。

4.計画届の提出不要

令和5年4月1日以降の休業等については、令和5年6月頃までの間、計画届の提出が不要です。

※コロナ前は、休業等の実施前に計画届等の提出が必要

5.残業相殺なし

令和5年4月1日以降の休業等については、令和5年6月頃までの間、残業相殺は行いません。

※コロナ前は、判定基礎期間中に実施した休業等の延べ日数から所定時間外労働日数の差引が必要

6.短時間休業の要件緩和

一部の労働者を対象とした短時間休業も助成対象となります。

※コロナ前は、助成金の対象となる労働者全員に対し、一斉に休業を実施することが必要

まとめ

雇用調整助成金は、コロナ前の制度に戻りながら、必要最低限の給付に限定されることになります。いままで継続して雇用調整助成金を受給していた場合は、クーリング期間のため1年間は雇用調整助成金を利用できなくなります。

また、雇用保険加入者でない従業員の休業については緊急雇用安定助成金で対応していましたが、こちらは令和5年3月31日で終わりとなります。

今後は雇用を単に維持するだけでなく、コロナで落ち込んだ業績を回復し、さらなる成長のための新たな人材戦略が必要となります。政府は「人」への投資を強化するため、リスキリングに5年間で1兆円を投じ、成長分野への労働移動を促すとしています。

※リスキリング:新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適用するために、必要なスキル(近年はデジタルスキルを指すことが多い)を獲得すること。

働き方の多様化が進み、雇用を取り巻く環境が過渡期を迎えているなかで、スキルの高い人材を育て、いかに労働生産性を高めていけるかが、これからの人材戦略のポイントとなります。

参考:雇用調整助成金特例措置の経過措置パンフレット

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