2022年1月から、電子取引データの保存がすべての事業者において義務になりました。しかし、多くの事業者で準備が間に合わず、本格的なスタートは2024年1月まで延期されました。
準備期間は2023年12月末まで。残すところ数か月です。電子帳簿保存法の中でも「電子取引データ保存」だけは義務規定のため対応が必須。まずはそれまでにできることをまとめてみました。
電子取引データとは?
取引情報を記載した文書で、紙ではなく電子データでやりとりしたものを「電子取引データ」といいます。
取引情報には、領収書、請求書、注文書、契約書、見積書などが該当します。
電子メールで送受信したファイルデータだけではなく、ECサイトやアプリなどの画面上で表示される請求書や納品書も含まれます。受信したデータだけではなく、送信したデータも対象です。
データ保存の4つのルール
「ネット通販なら必ずデータ保存が必要」というわけではなく、あくまで領収書などを紙ではなくデータで受け取った場合等だけ電子取引データの保存が必要となります。それもただ好きなように保存すればよいわけではなく、次の4つのルールを守って保存することが求められます。
まずはこの4つのルールを守って保存できるシステムなどを導入しましょう。
1.システム概要に関する書類の備え付け
システムのマニュアルや手順書が備え付けられている状態とすることです。
2.見読可能装置の備え付け
ディスプレイやプリンタ、アプリなどが用意され、いつでもデータを確認できるようにすることです。
3.検索機能の確保
「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる状態にしておかなくてはならないことです。
◆対応方法例◆


- 判定期間※の売上高が5,000万円以下
- 税務職員等の求めに応じて整理等された出力書面の提示・提出ができる
※法人は前々事業年度、個人は前々年
4.データの真実性を担保する措置
データに改ざん防止のための措置をとることです。
保存したデータが「正しいもの」と証明するため、次のいずれかの対応が必要です。

このうち、手軽に取り組めそうなのは③もしくは④の対応策になります。
電子取引データ保存で最低限やるべきこと
◆STEP1◆社内の電子取引を把握する
まずは社内でどのような電子取引があるのかリストアップします。
◆STEP2◆保存要件を満たす方法を検討する
保存要件のうち、「検索機能の確保」と「真実性の担保」を満たす方法を考えます。
専用システムを導入する場合
システムの機能を確認しましょう。導入したいシステムが要件を満たしているもの(法的要件認証製品)かは、こちらから確認できます。
①機能性の確保
⇒「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できること
②真実性を担保する措置
A タイムスタンプを付与できること
または
B データの訂正・削除が記録または禁止されていること
専用システムを導入しない場合
①機能性の確保
請求書などをメールやホームページから受け取り、次のいずれかの方法で保存します。
👉保存するファイル名に必要事項を記載して、フォルダの検索機能を利用する方法
「取引年月日」「取引金額」「取引先」を含むファイル名を付け、特定のフォルダで保管します。

👉ファイルと関連付けた索引簿をExcelなどで作成する方法
ファイル名に連番を付け、表計算ソフトで管理します。


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まとめ
2022年1月から予定されていた電子取引データ保存の義務化は、2023年12月末までに行われた分は紙保存が認められることとなりました。しかし今後、あらゆる分野でデジタル化・電子化が進んでいくことは避けられません。
電子帳簿保存法に対応した会計ソフト・クラウドサービス等も法改正により新しいものに変化しています。今回の法改正をきっかけに専用の会計ソフト等を導入するのも一つの方法です。銀行やクレジットカードのデータと連携しながら記帳・保存するシステムを導入すれば、経理業務の効率化にもつながります。
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